「気持ちを伝える」言葉 vs 「評価を与える」言葉

普段、私たちはどのような言葉でコミュニケーションを取っているでしょうか。
言葉一つで、人間関係は大きく左右されます。
ここでは、相手に与える印象という観点から、言葉の持つ力について考えてみます。
例えば、
- 「~するのはやめてくれる?」
- 「なんでいつも~するの?」
- 「あなたは~すべきじゃない」
- 「~あなたが悪いんだ」
- 「まったく、いつもこうなんだから!」
これらの言葉は、相手を評価し、非難する印象を与え、攻撃されたように感じさせます。
一方、同じ場面でも、主語を「私」に変え、自分の感情や要望を主体的に伝える表現はどうでしょうか。
- 「私は~だと感じるんだ」
- 「~してくれると、私は嬉しいな」
- 「~について、私はこう思っているよ」
- 「~の時、私はちょっと困っちゃうんだ」
- 「私としては、~だと助かるんだけど」
これらの言葉は、相手の行動に対する自分の気持ちを伝えるため、非難されていると感じにくく、受け入れやすいのではないでしょうか。
感情は個人的なものであり、それを伝えることは相手を責めることにはつながりません。むしろ、自分の弱さを示すことで共感が生まれ、具体的な影響を伝えることで、相手は自身の行動が他者に与える影響を理解できます。
また、評価ではなく要望を明確に伝えることで、相手は具体的な行動を取りやすくなります。
「もっと私の気持ちを理解してほしい」ではなく、「話している時は最後まで聞いてくれると嬉しい」と伝える方が、相手は何をすべきか明確になるでしょう。
特に男性には、具体的に言語化して伝えたほうが通じやすい傾向があります。
もちろん、「気持ちを伝える言葉」が万能ではありません。
しかし、相手を攻撃しない言葉は関係悪化のリスクを減らし、円滑で建設的なコミュニケーションを築くための有効な手段であることは確かです。
具体的なケースで考えてみましょう。
~家事を手伝ってくれない夫に対して~
- 評価・非難する言葉:
「あなたは全然家事を手伝ってくれない!いつも私ばかり!」
「あなたって本当に無関心よね!」
「少しは私の気持ちを考えてよ!」
→ 夫は攻撃されたと感じ、言い訳や逆ギレをする可能性があり、夫婦間の不満が増幅し、関係が悪化します。 - 気持ちを伝える言葉:
「あなたも疲れているのはわかっているんだけど、私も家事がしんどい時があって、少し手伝ってくれると、とても助かるんだけどな。」
「もし時間がある時でいいから食器洗いを手伝ってくれると、私はすごく嬉しい。」「あなたが家事に協力してくれると、私も気持ちに余裕ができて、もっと穏やかに過ごせると思うんだ。」
→ 妻自身の状況と気持ちを伝えることで、夫は罪悪感を感じにくく、協力しようという気持ちになりやすいかもしれません。
実際に手伝ってくれた場合は、夫に感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
人間関係は、お互いの気持ちを理解し尊重することで深まります。
非難や評価する言葉は、一時的な感情の発散にはなるかもしれませんが、長期的に見ると関係性を悪化させる可能性が高いと言えます。
家族や恋人など身近な関係ほど、無意識に評価・非難する言葉を使ってしまいがちです。
穏やかな関係性を維持するためには、「私」を主語にした気持ちを伝える言葉を意識した、より良い言葉を選ぶことをおすすめします。