老子の思想
皆さんは、老子の思想に触れたことはありますか?
中国哲学の三大思想の一つとして知られる道教の創始者の一人と言われています。
老子は、人間の傲慢さや争いを嘆き、宇宙の根源的な力である「道」こそが、すべての存在の基盤であると説きました。
算命学は、その思想の一部を、特に宇宙の秩序や人間の運命に対する考え方において、取り入れている点が、老子の思想と共通しています。
中国の人と思想「老子」
人間の作り出した文明も、人間の行使する権力も武力も、大自然の営みに比べれば、まことに取るにも足らぬ小事業である。傲慢な人間は、大自然の前に己の小なることを自覚すべきであろう。大自然から見れば万物の一つにすぎない人間は、さかしらな知恵を捨てて、むしろ謙虚に自然の法則に従うべきではないか。このように考えて老子は、宇宙造化の営みに着目する。
天地間には一定の秩序がある。日月昼夜の交替、五星の運行、四季寒暖の推移、これらにはすべて恒常的な法則があり、寸分の狂いもない。その間に、万物は次々と生み出され、成長を遂げ、やがて死滅する。しかし、その後にはまた、新しい生命が生み出されていき、造化の音波はしばらくやむこともなくつづけられている。こうした天地造化の営みは、いったい何者が、かくあらしめているのであろうか。
これを宗教的にいえば、偉大なる造物主(神)のしわざということになるであろう。しかし、老子は、宇宙間におけるこのような超越者の存在をいっさい認めない。老子はそれをおのずからなる営みである、と考えた。つまり、何者かがそのようにしている、あるいはさせているのでではなくて、ひとりでにそうなっているのだ、というのである。
人の行為には破綻もあり失敗もある。
ひとりでにそうなるのであって、何者かがなすのではない。はじめから何もしないのであるから、そこには破綻や失敗はありえようがない。しかも、それによって天地間の秩序が保たれ、万物が生成し、化育するということになれば、その営みは、むしろ完全無欠と称すべきであろう。しかも、その営みは、永遠である。
とすれば、この天地造化の営みこそ、人が規範として仰ぐべきものではないか。
このように考えて老子は、天地造化の営みを、あえて「道」と名付けた。中国の人と思想「老子」/楠山春樹(著)(集英社1984)より”
人間はどう生きるべきか?
老子の思想から、人間がどのように生きるべきか、いくつかのポイントを挙げることができます。
- 自然との共存: 人間は自然の一部であり、自然と調和して生きる。
- 心の平穏: 外的なものに振り回されず、心の平穏を保つことが大切。
- シンプルに生きる: 物質的なものに執着せず、心の豊かさを求める生き方。
- 柔軟性: 変化を恐れず、柔軟に対応できることが大切。
- 謙虚さ: 自分よりも大きな存在があることを認め、謙虚な姿勢を保つことが大切。
- 無為自然: 自然のままに生きる。
これが、老子が理想とした生き方で、この思想は現代社会においても、私たちに多くの示唆を与えてくれます。